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ペッタンコ星人

ペッタンコ星人の日記です

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推理小説と日本手ぬぐいの関係について。 2006-10-17-Tue

日曜の夕方、急に「脳男」に続くサスペンスが読みたくなり
大急ぎで新宿の紀伊国屋へ向ったのですが、
途中、なぜか手ぬぐいを3本も買ってしまいました。
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私、手ぬぐいの程よい大きさと質感が大好きなんです。

ペッタンコの手ぬぐい使用方法

汗をぬぐったりする他に、大好きなカレーライスやラーメンを食べる時は
服にお汁がかかるのを防ぐため前掛け代わりに使用します。
温泉にいったら勿論頭の上に乗せます。
仕事で気合が必要なときは鉢巻にもします。
お風呂で長時間本を読む時は汗が顔に落ちてこないよう
ヘアバンド代わりに使用したりもします。
そう考えると小説と手ぬぐいは「セット」という事になるのかもしれません。

「投球手習帳てぬぐい」~飲み屋などでネタが無くなった時に便利な手ぬぐい。
baseball.jpg



読書の必需品を購入し、やっと新宿南口にある紀伊国屋に到着。
ここは広くて楽しいのでついつい余計な本に手が出てしまいます。
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左「バブルの肖像」 /都築 響一 (著)
右「ぐっとくる題名」 /ブルボン小林 (著)
これは最近面白い本をガンガン教えてくれる知人に紹介されたもので
まだ2~3ページですが最初からかなり当たりな予感がする本です。
もったいないから全部読んでから感想を書きます。


さて、肝心の推理小説ですが、
雫井脩介という作家の「虚貌」という小説を購入予定だったのですが、
「雫井脩介」という名前を度忘れして、探すのに1時間半もかかりました。
なぜか「推理小説は講談社」と勝手に決め付けてしまったのがいけなかったようです。
結局幻冬舎文庫から出ていました。見つかって本当に良かった・・・。
P1010300.jpg

「顔」という題材を、多面的に描いた快作「虚貌」~雫井脩介:著
あらすじ(アマゾンより)
二十一年前の一家四人放火殺傷事件の加害者たちが、何者かに次々と惨殺された。
癌に侵されゆく老刑事が、命懸けの捜査に乗り出す。
恐るべきリーダビリティーを備えたクライムノベルの傑作。


リーダビリティーって何?という事で調べてみました。

リーダビリティー (Readability):文章の読みやすさ
 1) 手書き文字や活字の大小、種類、組み方等による見やすさ (legibility)
 2) 文章の内容の面白さや楽しさによる読みやすさ
 3) 語彙の難易、文長等の文体による読みやすさ


名前を忘れてしまうくらいなので雫井さんの本は全く読んだことがなかったのですが、
こんなに読みやすく、筋運びの面白さで読者をひきつける作家だったとは思いませんでした。
もう、上下巻だというのにお風呂で手ぬぐい頭に巻いて一気読みです。
推理小説としては「バカも~ん!あれがルパンだ~!」(By銭形警部)
的なトリックが使われていて、賛否両論みたいな噂も聞きましたがペッタンコ的には全然OK!
小さいとき「怪人二十面相」が好きだった人は間違いなく楽しめます。
ただアンフェアだという事は認めざるを得ないので(これが可能ならなんでもアリになってしまうし)
アガサクリスティの「アクロイド殺し」が許せない人は絶対に駄目な気がします。
ただ、そういう屁理屈抜きで面白かった。やっぱりエンターテイメントは最高っす。

さて、著者の雫井さんは私と同い年なんですが、本文に何気なく登場する
ルパン三世や怪人二十面相、スター・ウォーズ、ブラック・ジャック等が
小道具として使用されている部分も同世代としては共感してしてしまいます。

旧ルパン・・・再放送を何度見たことか。「二セルパンを捕えろ!」が一番好きです。
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著者同様、バブル崩壊後の新卒者たちは社会に出て
子供の頃から教えられてきた「成功の方程式」が何一つ通用しない事を知り
「既存のもの」を疑うようになった、と解説のナンタラさんが言っていました。
推理小説の「伝統」は尊重するけど継承するだけじゃ生き残れない・・・
そんな危機感からこの作品は生まれたような気がします。


さて、今回の小説で一番心に残る台詞は、謎の精神科医の北見が
醜形恐怖症になってしまった朱音に語る台詞。

~顔などというのは実のところ、すべて仮面だと思っています。
ただ、あなたが強く生きたいのであれば、覚えておいてください。
笑顔に勝る仮面はないという事です。


本作は顔に深いコンプレックスを持っている人が沢山登場します。
なんとなく「バニラスカイ」を思い出しました。

当時2回も劇場で見てしまった「バニラスカイ」。
これも「アンフェア」反対派が多く賛否両論でしたが、私は◎。
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という事でこの日買った豆絞り手ぬぐいは
お風呂でかいた汗でグチャグチャに(文庫本も湯気でグチャグチャに)。
いい仕事してくれました。今ベランダでヒラヒラ風に揺られています。

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脳男はイッパイいっぱい 2006-10-15-Sun

感情・情緒が欠落した正義の味方~「脳男」首藤 瓜於/著
連続爆弾犯のアジトで見つかった、心を持たない男・鈴木一郎。
逮捕後、新たな爆弾の在処を警察に告げた、この男は共犯者なのか。
男の精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが……。
そして、男が入院する病院に爆弾が仕掛けられた。
全選考委員が絶賛した超絶の江戸川乱歩賞受賞作。
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「文学賞メッタ斬り」で読みたい本がわさわさ出てきて大変なことになってきましたが
http://hanahana26.blog52.fc2.com/blog-entry-157.html
まずは豊崎さんが江戸川乱歩賞の中で唯一褒めてた「脳男」を購入。
相変らず専門的な描写(今回は医学的な部分)は難しくてよく分かりませんでしたが
感情を持たない鈴木一郎という人物が出来上がって行く過程などはゾクゾクしました。

主人公~脳男vs美人精神科医
鈴木一郎
痛みを感じぬ異常な身体能力をもち(ナイフでブスブス刺されても表情全く変わらず)
感情と魂を欠き、ただ脳だけで生きている謎の男。

鷲谷真梨子
脳男の本性を暴こうとする精神科医。
脳男の謎を解き明かすためなら北アルプスの山まで登ってしまう行動派。

珍名揃いの脇役たち
作者の首藤 瓜於(うりお) という名前、変わってるな~と思ったら、
この作品に出てくる人は殆どへんてこな名前でした。
苫米地さん、伊能さん、茶屋さん、入陶(いりす)さん、空身(うつみ)さん・・・・
脳男の「鈴木一郎」という平凡すぎる名前を更に平凡に見せるためなのでしょうか。
↓「日本の姓の全国順位データベース」あなたは何位だ?!
http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~jjksiro/kensaku.html
苫米地さん 4030位
伊能さん 4295位
茶屋さん 8582位
入陶さん、空身さん(登録なし)

※ちなみに鈴木さんは2位

連想してしまう映画が多数
「セブン」~
爆弾犯が「ヨハネの黙示録」になぞって爆弾をしかける(セブンは「7つの大罪」でしたね)
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「ターミネーター2」「アンブレイカブル」
~脳男は痛みを感じないので(でも不死身ではない)
t2.jpg20061015032200.jpg

「刑法第三十九条」
~精神科医と脳男の緊迫したやりとりが鈴木京香vs堤真一とダブる。
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「レナードの朝」「ロレンツォのオイル/命の詩 」~
難病で、一生目が覚めないと言われた病から、
奇跡的に意識を吹き返し、「人間」として生活する事を夢見た患者たちが脳男と重なる。
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とにかく読み始めたら一気にラストまで読めるので面白かったのですが
江戸川乱歩賞特有の「序盤~中盤までは凄く面白いのに最後で失速」
の範疇から出る事は出来なかったようです。ちょっと最後が急ぎ足で結末も中途半歩。
でも同じキャラで続編が出たら読んでしまうと思う。



さて、この「脳男」と平行して読んでいたのが、
取引先の方から頂いた青春小説「太陽がイッパイいっぱい」。

「太陽がイッパイいっぱい」三羽 省吾 (著)
汗、恋、喧嘩、ツユだく大盛り! 工事現場で働きながら、
もがき苦しみ笑い転げる青春真っ只中男たち。第8回小説新潮長篇新人賞受賞作。
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小説からかなり遠いところにある世界「解体現場」が舞台の青春小説。
三流大学四回生のイズミをはじめ、魅力的なバカキャラがいっぱい出てくる。
単純で下品、でも可愛げのある「マルショウ解体」の仲間で構成される
「マルショウスパイダーズ」なる野球チームも「逆境ナイン」ばりに弱くて楽しい。
イズミを誘うゼネコンのツボイは否定されるべきキャラではないと思うし
それを含めたラストの結論の出し方はイマイチすっきりしないけど
それをひっくるめて「青春」と呼ぶのかもしれません。
「青春とは、心の若さである」と誰かも言っていたし。

私が一番好きなキャラ。巨漢マッチョの「カン」の台詞
「キレる?ああ、ニュースでよう言うてるやつか。あんなもんキレる言わへんわい。キレたキレた言いながら刺したり殺したりしてんのんはガキや女や年寄りばっかしやないかい。むっちゃ冷静やないかい。判断能力なくして暴れるんやったら、相撲部屋とかプロレス道場とか、俺に対してキレてみぃっちゅうねん!」164p

…という事で、これは大阪が舞台の物語です。
「梅田」「心斎橋通り」「千日前通り」「「戎橋」「御堂筋」など色んな地名が出てきます。
大阪の地理がイマイチ分からない私はちょっと寂しかったので、
3連休、お好み焼きでも食べにぶらっと行ってこようかなぁなんて思ってます。
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子供つながりで続けて2冊読んでみました~「チルドレン」&「ミカ!」 2006-10-10-Tue

彼らは一人でいる時は問題がなくとも、集団になると歪むのだ。
陣内さんは「子供のことを英語でチルドレンというけれど、
複数になるとチャイルズじゃなくて、チルドレンだろ。別物になるんだよ」とよく言った。


チルドレン伊坂 幸太郎 (著)
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「ばかばかしくて格好よい物語」
まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。
信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き。
ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。
吉川英治文学新人賞作家、会心の受賞第1作!

~短編集のふりをした長編小説です。
帯のどこかに“短編集”とあっても信じないでください。by伊坂幸太郎


伊坂さんのおっしゃるとおり、一瞬短編集かと思ったんですが長編小説でした。
物語は、主人公(なのか?)の陣内君が家裁調査員を目指している大学時代の(昔)と
実際に家裁調査員の職についている(今)とが交互に訪れる構成になっています。

チルドレン~魅力いっぱいの登場人物
陣内くん(変人)、永瀬くん(盲目の美男子)、優子(永瀬くんの彼女)、武藤君(家裁の調査官)
(この「武藤」という苗字は、実際にこの物語を書くとき伊坂さんが取材した
家庭裁判所のスタッフの方から拝借したようです)

さて、今回のテーマは「カッコよさ」です。本文の中の陣内の台詞
「大人が格好よければ子供はぐれないんだよ」・・・これが、すべてを物語っている気がします。
陣内のお父さんは、偉くて金持ちだけど、女子高生と援交とかしてしまうカッコ悪い大人。
彼はそんなカッコ悪い父親を120%軽蔑している。
そしてそれこそが陣内のパワーの源だったりする。

関係ないけど、陣内くんってジョンレノンに似てると思うんです。
ジョンレノンは昔、世界中の若者に音楽で「平和」や「愛」を伝えたかった。
でも「平和」とか「愛」って言葉にすると恥ずかしいし、カッコ悪いって思う若者も多い。
そこでジョンレノンは「ダブルファンタジー」のジャケットを
奥さんのオノヨーコとブチュ~っとやってる写真にした。
普通だったら「げ~!」って思う。でもジョンレノンはカッコイイから
そのジャケットも「カッコイイ」ジャケットだと若者たちは思った。
そして自然に若者たちは「愛」や「平和」をカッコイイものだ、と思うようになった。
・・・これはまさに陣内くんですよ(彼はパンクバンドだけど)。

このジャケットは世界で一番優しい物の一つだ!
ダブル・ファンタジー ~ ジョン・レノン
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外見も中身もカッコよくなくてはいけない陣内が、一番羨ましいく思っているのが
盲目の美青年、永瀬くん。彼は全盲で、生まれてからずーっと世間に
盲人という見えないランクをつけられ生きてきた。でもそんな永瀬くんを
陣内は「ずるい」という。「羨ましい」という。
なぜなら永瀬くんは生き方がカッコイイからだ(顔もカッコイイからだ)。

わたしたちが無意識に「普通」「普通じゃない」と
区別していることが「本当は間違っているのでは?」と感じさせる陣内の存在。
そんな彼が巻き起こす騒動の物語は、読めばかならず誰かに薦めたい!と思うはず。
さらにいえば「カッコよくなりたい」とも思うはず!いや、絶対に思う!(←陣内風)

は、気づいたらこんなに書いてしまった。そろそろ「ミカ!」に移ります。



ミカ! 伊藤 たかみ (著)

双子のミカとユウスケの昨日・今日・明日・オトトイ。すっぱい涙の向こう側には…。
さっさと大人にならないボクらの、キュートでハッピーな小学生ライフ。
第49回小学館児童出版文化賞受賞作

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世間で大人という事になっている人々…でも本当はまだ子供なんじゃないでしょーか。
私もこの前セブンイレブンでヨーヨー付コーラ買ったし(勿論ヨーヨー欲しさに)
友人の男性は未だに「スラムダンク」とか「ガンダム」が好きだったりする。
「人は完全に大人にはなれないんじゃないか」とこの本を読んで思った。
だって、共感してしまう部分が沢山あったから。

解説の長嶋有さんも言っている。

~PHSを買ったばかりの時に
誰かにかけてもらうと嬉しいのはコウジだけじゃない。
仕事中に変な絵を見せられると吹き出してしまったりする。
大人も、次のバス停まで歩いて途中で追い抜かされる。
大人も飯ごうのおこげが楽しみだ。
本当に大事な話をする時は
「自分が言い出したくせに、なんだか面倒くさそうな顔」をする!

ぎゃはは!オトナコドモ万歳!



ペッタンコ一口メモ
伊藤たかみ(1971年4月5日)作家。
男性。本名は伊藤学。兵庫県神戸市生まれ。小学1年から5年まで大阪府枚方市、小学6年時より高校卒業まで三重県名張市で過ごす。三重県立上野高等学校を経て、早稲田大学政治経済学部卒業。離婚歴あり。歌手の平井堅とは中学高校と同級生。妻は、第132回直木賞受賞の角田光代。

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「ワタクシはいったいあと、どのくらい生きられるでしょう」センセイの鞄 2006-10-08-Sun

センセイの鞄 川上弘美/著

「ワタクシはいったいあと、どのくらい生きられるでしょう」
「ずっと、ずっとです」


あらすじ
駅前の居酒屋で高校の恩師と十数年ぶりに再会したツキコさんは、
以来、憎まれ口をたたき合いながらセンセイと肴をつつき、酒をたしなみ、
キノコ狩や花見、あるいは島へと出かけた。
歳の差を超え、せつない心をたがいにかかえつつ流れてゆく、
センセイと私の、ゆったりとした日々。谷崎潤一郎賞を受賞した名作。

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40前の中年女と70過ぎのお爺さんの恋愛物語なんて
ちょっと気持ち悪い、と思う人もいるかもしれませんが、そんな心配は無用です。
静謐だけど激しい、とてもいい小説でした。

「センセイ」はいかにも学校の先生らしく、きちんとしていて、
それなのに、愛嬌があって、いたずら好き。

「ツキ子さん」は…
私の言葉で説明するより以下の部分が彼女の人となりを物語っています。

「小学校のころ、わたしはずいぶんと大人だった。
しかし、中学、高校、と時間が進むに連れて、はんたいに大人でなくなっていった。
さらに時間がたつと、すっかり子供じみた人間になってしまった」(162p)


お互いにいい年なのにかわいらしい。大人なのに頼りない。
そんな二人の掛け合いがほっこりしていて、まるで
美味しそうな湯豆腐の湯気が顔にふわっとかかるような安心感を与えてくれます。

湯豆腐と言えば…

…センセイの家で湯豆腐を食べていた時のことである。
昼間っから、アルマイトの鍋でセンセイが作ってくれた湯豆腐をさかなに、
ビールを飲んでいた。鱈も春菊も入っている湯豆腐だった。
わたしのつくる湯豆腐は、豆腐だけである。
こうやって、知らない人間どうしが馴染んでゆくのだな、などと
昼酒でぼんやりした頭で思っていた(261p)


ツキ子さんはラスト、独りっきりで、鱈と春菊が入った湯豆腐を食べます。
不思議と悲壮感は感じられない、そこにはただ懐かしさと不自由な人間同士の
暖かさが伝わってきます。…というか真面目に湯豆腐食べたくなります。
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ディズニーランドでセンセイが泣く場面もいいし、
最後に出てくる携帯電話のエピソードはとても切なく、微笑ましい。
理由も用事も無い電話って素敵ですよね(無言電話じゃなくて)。

センセイの話す「日本語」もとても心地よく、
全体的にうっすらとただようとぼけた雰囲気もよい。
とにかく終始ゆったりした気持ちで読む事ができました。
ああ、センセイに頭を撫でられたいなぁ。私もまだまだ子供だ(←37歳)。



ところで、これはドラマ化されたんですね。
http://www.wowow.co.jp/drama_anime/sensei/contents.html
主演: 小泉今日子(大町月子)/柄本明(センセイ:松本春綱)
演出: 久世光彦
この「演出、久世光彦」といいうのがいいなぁ。
読んでて何となく向田邦子の世界が漂いつつあったし
彼以外こんな世界を映像に出来る人はいないでしょう。
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余談ですが5年ほど前、初台のオペラシティ内「アンナミラーズ」の
オープンカフェで、センセイ役の柄本さんが、すごーく年の離れた女性と
何も言葉を交わさず、ただただ延々と本を読みふけっている姿を目撃した事があります。
とても天気の良い穏やかな午後で、そこだけ時間が止まっているような気がしました。
親子にも見えないけど、ベタベタの恋人同士にも見えない。
なんとなくセンセイとツキ子さんの関係に似ているような気がしました。

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「文学賞メッタ斬り」と渡辺淳一について 2006-10-07-Sat

「文学賞メッタ斬り」大森望・豊崎由美著

出版社/著者からの内容紹介
業界騒然!読書家待望! 小説が100倍楽しくなる痛快文学賞ガイド

文学賞ってなによ? 芥川賞・直木賞から、話題のホラー小説大賞、メフィスト賞、
ファンタジーノベル大賞まで、50を越える国内小説賞について、
稀代の読書家大森望・豊崎由美の二人がアンタッチャブル徹底討論!
WEBマガジン「エキサイトブックス」で一大センセーションを巻き起こした
掟破りの言いたい放題がさらにパワーアップ。最新受賞作全採点「文学賞の値うち」付き。

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芥川賞に幻滅し、読書のモチベーションが落ちかけていた時
知人から薦められた「文学賞メッタ斬り」。いやー面白かった。
文学賞のキャラクターを楽しく解説してくれて、結果自分好みの賞や作家にも出会えるという
正に「読む前に読め」的な、おいしい本でした。
最高に笑えるのは無能な選考委員をせせら笑うような毒舌っぷりですね。
特に宮本輝&渡辺淳一攻撃が読んでて痛快というか、
妙な清々しさを感じました。

ペッタンコ一口メモ~渡辺 淳一(1933年10月24日 作家 )
北海道上砂川町出身。1958年札幌医科大学医学部卒業。医学博士。
以前、山陽新幹線の博多―小倉間の指定席とグリーン車を無賃乗車したことがある
先生のブログ→http://watanabe-junichi.net/
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直木賞の天敵、渡辺淳一先生の選評(著者抜粋)

東野圭吾「手紙」落選の際の選評(129回候補作)

「~なによりも不満だったのは「手紙」というタイトルをつけながら、
殺人を犯した兄からの手紙が、ほのぼのとしすぎて実感に欠けることである。
私の小説の愛読者にSという死刑囚がいるが、
彼からの便りは「ひたすら女とやりたい」と一点に尽きる。
小説を書く以上、この程度のリアリティは確保しておくべきだろう」~83ページ



更に横山秀夫「半落ち」落選の際の選評(128回候補作)
(被害者が自首してくる以前、「歌舞伎町で何をしていたか」という最大の謎について)


「~結果はいかにもきれいごとすぎてリアリティに欠ける。
それより俗だが、ひたすら風俗で遊び尽くした、とでもいうほうが
遥かに説得力があるし
、人間くさい」~84ページ


ぎゃはは。さすが下半身にはうるさい先生でございます。
大体、「半落ち」の空白の時間、実は歌舞伎町のソープでやりまくってました、
で読者が納得するとでも思ってんですかねぇ。それじゃ物語が成立しないではないですか。
リアリティ爺…面白いキャラではありますが、
落とされた方もこんな滅茶苦茶な選評書かれたらたまらないでしょう。

更にまたまた東野圭吾の名作「白夜行」(122回候補作)落選の際、先生曰く

「~小説になりきっていない。いいかえると、事件に関するこの程度の情報を羅列するだけならレポーターでも書けるはずで、作家と自負するなら、より深く誠実に、主人公の内面に分け入り踏み込んで書くべきではないか」~92ページ

…悲しくなってきます。内面に踏み込んで書けって…
そもそも「白夜行」は主人公の内面をあえて語らず、
外壁から語っていく物語なのに。
もしかしたら、ちゃんと読んでないんじゃ…と思ったら、
なんでも先生は上下巻モノが嫌いで、編集者から口頭で
ストーリーを教えてもらったりしてるそうです。どっかーん!


さて、宮本輝先生(芥川賞選考委員)に関しては
「とにかく今、芥川賞の行方を左右してるのは宮本輝なんですよ。とりあえずテルちゃんに読ませなきゃいけないわけ。テルちゃんでも分かる日本語、テルちゃんでも分かる物語、それが芥川賞の近道!」(18ページ)

かなり言いたい放題な本ではありますが、本を愛するからこそ、つまらない本は悲しい。
どこからも後ろ指を差されることない、二人の読み込みっぷりは敬服致します。
第二段「文学賞メッタ斬りリターンズ」も出たようなのでさっそく買わなくては!うう、また読みたい本が増えてしまいます。
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(写真左=大森望、右=豊崎由美)
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大森望
1961年生まれ。翻訳家。最近の編訳書にシオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』(河出書房新社《奇想コレクション》)
コニー・ウィリス『犬は勘定に入れません』(早川書房/4月刊行予定)など。

豊崎由美
1961年生まれ。ライター。
「GINZA」「本の雑誌」「ダ・ヴィンチ」など書評連載多数。
池袋コミュニティ・カレッジでこの4月から「年収600万円の万能ライター養成講座」を開講。

決定! 第135回 芥川賞&直木賞 - 文学賞メッタ斬り! - nikkeibp.jp
7月13日、第135回芥川賞・直木賞が決まった。
発表を受けて、メッタ斬りコンビから緊急コメントが届きましたのでご紹介。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/life/topic/literaryawards/060713_6th/

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